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「ケサル大王物語」

    (筑摩書房)
ケサル大王物語―幻のチベット英雄伝 (世界の英雄伝説)ケサル大王物語―幻のチベット英雄伝 (世界の英雄伝説)
(1987/03)
君島 久子

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原題「格薩爾王伝」。「ケサル」は、リンのケサル王が周辺諸国を仏法の名のもとに制圧していくチベットの英雄叙事詩。この本では、英雄ケサルの誕生から即位、魔王討伐、ホル国との戦い、勝利までを描く。


 巻末の解説によれば、「ケサル」は書写・木版の本だけでなく、口頭でも伝承されており、膨大な数の物語があるとのこと(この本はそのうちホル国との戦争を描いた一部分)。
 チベットを中心にモンゴル高原、ロシア南部、ブータン、中国・雲南省、四川省など、チベット仏教が影響を及ぼした広い地域に伝播しており、この本は青海省貴徳県で見つかった書写本を漢訳した本(甘粛人民出版社「格薩爾王伝」王沂暖)の邦訳。この本は、どうやら日本語でまとまって読める数少ないケサル本らしいです。

 悪魔が横行する下界のさまを嘆いた観音菩薩と梵天王によって、梵天王の子・トンギュ・ガルポが地上のリン国に遣わされる。彼はケサル王として即位、悪魔討伐の法を修めるために寺に篭るが、その間に第二夫人のメイサが魔王に囚われてしまう。ケサルは天界から降りる時に携えてきた剣や鎧で武装して、魔王討伐に向かう。
 一方、王が不在のリン国は、ケサルの叔父チャオトンタの裏切りによってホル国に攻め込まれた。残された第一王妃チュモはホルの黄色いテントの王に王妃になるようにせまられ、助けを求める使いをくりかえしケサルへ送る――

 と、こんなお話。
 主人公であるケサルだけでなく、リン、ホル両国の王家の人々が生き生きと描かれていて楽しかったです。少ししか登場しませんが、ケサルの異母兄ギャンツァシェーカルなどは主役を食うかっこよさだと思うのですが!
 また、とことん性根の悪いチャオトンタやら、メイサとチュモの女の嫉妬が一国の運命をさんざん揺さぶってます。妻たちの仲違いに翻弄されるケサルは優しいともいえるし……正直いって、かなり情けなくて人間らしい。
でも、あまり奥さんを増やさない方がいいのではないか、と別の意味ではらはら致しました。

 しかし、ホル国との戦いが後味の悪い展開で終わっているのが残念。長い物語の、ごく一部分を扱った本であるせいかもしれません。

 トンギュ・ガルポが天界から降りる時にともなってきた「7本の矢」「緑玉の蛙」などは、即位後のエピソードにも登場。きっとさまざまな象徴、意味があるのでしょう。 他の民話にもよく登場する「蛙」がとても気になります。「ケサル」は長く、バリエーションも多い物語だそうなので、このような「共通アイテム」を探すと面白そう。
 もっと、いろんなお話を読んでみたいです。

(2010/5/31 読了)



目次

第一章 天界にて 
第二章 地上での転生 
第三章 ケサル大王の誕生
第四章 悪魔退治 
第五章 ホルとの戦い
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  1. 2010/09/16(木) 21:59:34|
  2. 文芸・民話|
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