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自由に死す&シンポジウム「ヒマラヤから現代社会を問う」

年末ですね~。大掃除をする私を横目に知人が次々と出かけていきます。
ネパール、インド、ラオス、イギリス、アメリカ……一番暖かいのはどこだ?(それがミソ)
年末年始は天候大荒れの地方もあるそうで、帰省される方はお気をつけていってらっしゃい(^^)

今年最後の更新になります。
ヒマラヤ国際映画祭2010にて。映画と、そのあと行われたシンポジウムのこと。

来年もよろしくお願いいたします。
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「自由に死す」 ヒマラヤ国際映画祭2010 より
原題: Better to Have Been Killed
監督: ドゥルバ・バスネット
製作国:ネパール
製作年度:2007年
字幕:日本語
本編:52分

  ↓



内戦下のネパールでは、報道の自由は政府により著しく制限された。その状況に闘いを挑んだジャーナリストを待っていたのは、逮捕、そして拷問の数々であった。多くのジャーナリストの証言により、非常事態の中での報道の自由を巡る闘いを浮き彫りにする。


 ドゥルバ・バスネット氏は2006年上映の「戦火にさらされる学校」の監督(感想はこちら

 ジャーナリストたちが不当に逮捕され、拷問を受けた。また当人だけではなく、家族までひどい中傷にさらされていた、という生々しい証言によって綴られた映像でした。

 ただ、私がネパールの政治情勢をよく知らないせいもあり、彼らが具体的に何を理由に逮捕され、何故釈放されたのかがわからなかったのでした。
 上演後の監督のトークによれば、この映像はネパール国内で上映(放映?)されたとのこと。現在でも、報道への弾圧は続いているそうですが、少しはましな状況になっているということなのでしょうか。

 有名なジャーナリストなら衆目によって守られるが、そうでない人も多い。無名のジャーナリスト、その家族、証言を断った人もいるはず。この映像に出てこない人たちの身は何によって守られるのだろう?



シンポジウム「ヒマラヤから現代社会を問う」

 上映映画の監督による基調講演と、日本人研究者を交えてのパネルディスカッション。
 貴重なお話ばかりでしたが、流れがつかみにくくて少し残念。通訳が入ると時間が倍かかるので、それにしては内容が盛りだくさんだったのかも。

<基調講演>

■ ドゥルバ・バスネット(「自由に死す」監督)

 現在のネパールの政治情勢を説明のあと、ヒマラヤの気候変動について。

 ヒマラヤはアジアの水源。10を越える大河の源があり、下流の130万人の生活用水、農業・水力発電、生物の多様性に影響を与えている。
 温暖化は低地よりも高山の方がより顕著に進んでいる。
 氷河は、分断のために数が増えてみえるが、全体量は減っている。氷河の融解により、氷河湖決壊の危険が高まっている。決壊すれば、水だけでなく瓦礫もいっしょに流出するため、下流の人命、インフラ、森林、農地などを破壊することになる。

 また、降水の様相も変化している。
 雪でなく雨が増えたことで、留保される水が減り、乾季(夏)の水量が減っている。

 解決への糸口として。
・ダライ・ラマ14世の言葉を借りて、多くを消費し、金をかせぐというライフスタイルに疑問を呈する。
・伝統的な知恵に従い、神聖な地をそのままに大切にする。
・まず知ること。「知識によって情報を得、知り、対応する」ことが必要。


■ サンジェイ・バーネラ(「残すのは足あとだけ」監督)

 ヒマラヤの動植物について。開発プロジェクトによる天然資源の危機。

 <例:グレートヒマラヤ国立公園>
 地元民の生活は、遊牧と薬草採取によって自立している。
 これに対し、環境保全主義者(?)たちは、薬草などのが絶滅するのを防ぐために、採集の全面禁止を求めている。
 しかし、何世紀にもわたって行われてきた環境保護のやり方はある。
 例えば、採集に際してデブタ(神)のお告げを聞くという儀式がある。取るべき時期や草の種類が具体的に示され、取りすぎた場合は採集を禁止するお告げもあり、これは伝統的に機能してきた。
 このやり方の問題は、グル(神と話す人)と森林管理当局の命令が異なる場合に警察沙汰になることがある。


 そして、大規模開発計画について。計画に際して地元の意見が反映されない。

 <例:テリー・ダム>
 ダムの建設により、地元民は移住させられるが、そこは衛生上の問題がある。道やトンネルをつくり山を削るが、地震の多い土地であり、ダム建設はなかなか進まない。

 政府内にも開発推進派と環境保全派がいる。しかし、環境保全をしても、地元経済を支えなければならない。地元を考えなければ、どんな計画もうまくいかない。


■ ウゲン・ワンディ(「思いを運ぶ手紙」監督)

 ブータンの近代化、民主化について。

 ブータンの近代化はここ50年ほどのもの。また、それは都市部に偏っており、地方ではまだ家族で炉辺に集まるような昔の生活が残っている。
 (自身の作品に出てくる人たちの言葉からもそれがうかがえる)

 ある山村の女性は「あの山の向こうに行ったことはない。たぶん、一生行かないだろう。自分の人生はここにある
 また、「思いを運ぶ手紙」の中では、「橋の下でも、家族がいれば幸せだ」と語られている。

 50年の近代化の間には問題も生まれた。例えば、テレビの普及でさまざまなものを欲しがるようになり、それを売る店ができた。
 どの町でも、文化や価値観が腐敗することを心配する声は聞かれる。しかし、希望的観測を持っている。つまり、現代技術を通して文化を発展させられると思う。

(争って) 勝つことができないなら、参加する。一緒になってしまう」
「新しいものを少し、昔のものを少し」


 という考え方。
 
 また、GNH(国民総幸福量)とは。
 その柱は「アイデンティティの維持」と「持続可能な開発をする」ことにあり、これは仏教的な性格を帯びた考え方だと思う。


<パネルディスカッション>

 ここからは、日本人研究者からのお話もあり。

 南真木人氏(国立民族学博物館)からは、ヒマラヤ地域の文化にある寛容の精神について。
 ヒマラヤ地域にはたくさんの言語、民族、宗教があり、その中で(差異よりも)共通点を見つけていこうとする精神が生きている。

 辻村優英氏(高野山大学密教文化研究所受託研究員)からは、チベット仏教の寛容の精神について。
 非暴力とは「暴力がない」だけでなく「憎しみがない」ことと重なる。また、 普遍とは「自分と他者の平等」ということ。世界は経済も自然も含めて相互依存で成り立つ。
 ……などなど、緻密な言葉の定義が新鮮でした。仏教の観点から、主に自然環境との共生について語られましたが、多分もっと広くて深い話だったと思うので、また別の機会にゆっくり聞いてみたいです。

 時間が足りないのが、なんとも惜しいシンポジウムでした。



 映画祭全体をみれば。
 今年は目当ての作品がすべて金曜日上映だったので(涙)、できたら来年は平日にかからないといいなあ。

 でも、貴重な映像作品、監督たちのトークは充実した内容。フリーパスもあるし、宿泊施設の申し込みもできる(会場が研修施設なので)ので、遠方の方にもお奨めの映画祭です。
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  1. 2010/12/29(水) 11:03:17|
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