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「絆 ―いま、生きるあなたへ」

ご無沙汰してます。
いろいろなイベントに参加していたわりには、ここは放置してしまいました。

映画上映の情報はTwiiterやFaceBookの方が便利なので、今後は書かないと思います。
読んだ本のご紹介にしぼって、ぼちぼちと再開することに。

といいながら、去年読んだ本の紹介って、ゆるすぎ?

    (ポプラ社)
絆 いま、生きるあなたへ絆 いま、生きるあなたへ
(2011/06)
山折 哲雄

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2011年3月11日の震災によって誰もが、生きるとは、死ぬとはどういうことか、根源的な問いを突きつけられた。「方丈記」「立正安国論」に描かれた大地震の様を通して、日本人の自然観、死生観を語る。



一章は著者へのTVインタビューで聞いたのとほぼ同じ内容でしたので、そちらのメモから抜き書きです。


阪神、中越、そしてこの東北の大震災。これらの被災者の表情を見てきたが、共通して穏やかであることに驚かされた。これは偶然ではなく、日本人がもつ自然世界観と関係があるのではないかと考えるようになった。
 日本は古代から災害が多く、その経験から二つの無常観――滅びゆくものへの同情と共感を抱く暗い無常観と、四季が移ろいながら再び甦ることを知っている明るい無常観を持っている。「無常」を知る感性は、仏教が伝来するはるか前から育まれていた。

 また、日本人は「死」に思いをはせる民族だった。
 たとえば、万葉集。恋愛の歌が広く知られているけれど、実は半分以上が死者を悼む挽歌である。万葉の時代から、人々は災害とともに生きて、歌をつくることによって死者の魂が海や山に静まる――魂の行先をイメージした。
 現代の日本人は、この「魂の行方」に対する感性が衰弱している。失くした、と言ってもいいほどだ。
 大災害の中で、人と人とのつながり(絆)が注目されている。だが、それに加えて「死者との絆」が回復されないと、被災した人々の心は癒されないと思う。そのことに対する配慮が社会的になされていないことが問題だ。

 日本人の災害の受け止め方には、今後大きな可能性がある。
 西洋的な近代文明に対して、無常文明ともいえる日本の精神文化。この間にどのように橋をかけられるか? これが次世代への問題になるだろう。


 そして、本では日本の過去の災害について触れられています。
 鴨長明が「方丈記」で描いた都の大震災後の風景、日蓮が鎌倉大地震のあとに見たことを通して書いた「立正安国論」から読み取れる、災害の受け止め方について。また、「昭和三陸地震」「陸羽地震」の時代に生きた宮沢賢治の世界観についても触れて、「災い」に対して日本人がどのように生きようとしたのかが語られていました。

二章以降は、おもに仏教を軸にして死や死後への関心、インドにある四住期という生の捉え方について語られています。

災害をとおして、日本人の死生観に思いをめぐらせる――難しい内容だけれど、時に歌謡曲まで例に挙げるような(!)やわらかい文章で、一冊堪能しました。

 ほんの半年前(※2011/9読了)の大災害と、900年も昔の災害とを並べて語る、これは学者さんの視線だな、と思います。学問の世界の冷静さを「現実には役立たない」と批判することもできるでしょう。

 でも、私はこの本に冷たさはまったく感じませんでした。
 読んだ誰もがこんな言葉を受け止められるには、まだ何年もかかるでしょうが。それでも、こういう本を読みたくて待っている人もいるだろうと思う。そんな人のために書かれたかのように、穏やかな語りの本でした。

(2011/9/20読了)



目次

第一章 災害とともに生きてきた日本人
第二章 私の身近に存在した「病」そして「死」
第三章 インド人の死者儀礼
第四章 日本人のゆく浄土
第五章 仏陀と親鸞と--日本人の死生観について
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  1. 2012/09/08(土) 20:47:54|
  2. 仏教&宗教 全般|
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