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「オールド・ドッグ」

ずっと見たかったので、即決で行ってきました(^^)
公式HPが無いようなので、去年の東京フィルメックスのURLを貼っておきます

オールド・ドッグ
年老いたチベッタン・マスチフを飼う老人とその息子が主人公。チベッタン・マスチフは中国の富裕層に高く売れるため、息子は父親の老犬を業者に売る。反発した老人はいったん売られた犬を強引に取り戻すが、今度は犬泥棒が老人の犬を盗もうとする。ついに、老人は一つの決意をもって、老犬を連れて草原に向かう......。
http://filmex.net/2011/fc03.html




「犬は牧民の宝だ」

そう、ぽつりと言う老人の言葉が物語の中心にあります。

物語は青海省の小さな町とその近隣の草原が舞台。
チベッタン・マスチフは富裕層に人気のペットで、高く売れるため、あちこちで犬泥棒が横行している。
主人公であるチベット人の老牧民は、今ではめずらしくなった純血種の老犬を持っていますが、彼の息子ゴンボは父親に黙ってこの犬を売ってしまいます。

ゴンボいわく、
「どうせ盗まれてしまうんだ。それなら、売った方がいいじゃないか」
老人は黙って町へ行き、犬を買い戻す。
そして「金で売られるくらいなら」と犬を山へ放しに行きます。
ところが、その犬は再び捕まえられて、ブローカーに売られてしまうのです。

父子の行動は「盗まれてしまうくらいなら、売った方がいい」「山に放した方がいい」と違うけど、
「牧民の大切なものを守れないなら~」という根っこが一緒なのが辛い。

ふと、チベット人が放生した魚を漢人が捕まえて再び売る、という話を思い出しました。
どちらが良いとか悪いということではなく、考え方がどれだけ違うのかと考えて複雑な気分になってしまいました。


遊牧民の「いまどき」も描かれています。
TVにはさまざまなコマーシャルがあふれ、現金と商業主義が草原にも押し寄せてくるのが感じられる。
もしかしたら、ゴンボには父と違う悩みがあったのかもしれないなあ、と思いました。

たしかに、バイクのガソリンも買わなきゃいけない。テレビには新しい品物があふれて、しかも妻がそれに興味がありそうだ。金は必要だ。
でも、それだけではなかったのじゃないだろうか。

ゴンボ自身、将来の生活が見えなかったのかもしれない、と思うのです。

有刺鉄線に囲まれた放牧なんて、あり得ない。
この先、いつまで牧畜を続けていけるか、わからない。
そりゃ、酒も飲みたくもなる。

でも、べろべろになって帰っても、犬を売った金には手をつけてないのですよね。
父親とは違う意味でやりきれない姿だな、と思ったのでした。


他にも、印象的で意味深いモチーフが多いです。

柵から迷い出てしまい、有刺鉄線をくぐりぬけようともがく羊。
子供のできない息子夫婦。
廃墟となった村。
勧められる煙草を頑なに拒む老人。
決して後ろを振り返らず、ただ黙々と歩き続ける姿。
牧民と犬ブローカーの会話は、どこまでも噛み合わなくて悲しい。
売らない、と言ったら、売らない。値段の問題ではないのです。


どうしようもない事どもを前に、老人はある決意とともに犬を草原へ連れていきます。
そして――


建設ラッシュらしい町の喧騒とは対照的に、草原はあまりに静かです。

そこに暮らす牧民家族らも言葉少ない。
ゆえに、彼らのしぐさ、行動の一つ一つが重みをもって迫ってくる。


もう一度見たい、と思うような映画でした。

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  1. 2012/10/17(水) 21:22:32|
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