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「歴史を学ぶということ」

歴史を学ぶということ歴史を学ぶということ
(2005/10/19)
入江 昭

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9.11後、世界は本当に変わったのか?戦後の混乱期に渡米し、ハーバードで長年教鞭をとってきた歴史家は現代をどう見ているか。



一部は著者の生い立ち。
二部は著者の研究、世界の歴史研究の潮流について。
三部は現代社会と歴史学者の関わりについて。

著者は米国外交史・国際史の歴史学者。
主に若者向けに書かれた本ですが、学生向けとは限らない印象。
二部、三部は社会問題を見る時の助けにもなりそうでした。


国際関係をお互いの「イメージ」に着目してとらえる、という視点が面白かったです。
国と国との関係も、人間関係とちょっと似ている。セルフイメージ、思い込み、思い入れがあると思うと面白い。

まず、自国のイメージや世界に対する予備知識があり(1)、
その延長上に対外イメージが築かれる(2)、
さらにそれが直接の出会いによって変化する(3)、

と、重層的に見ていくと
(3)の基礎には(1)がある。でも、それが修正されてあらたな(2)や(3)が築かれることもある。
各層がどんどん変化しながら動いていく、といったお話――まるで生き物の新陳代謝のようだと思いました。


もうひとつ印象的だったのは、グローバル化の中で国家以外の集団(要素)――つまり国際NGO、多国籍企業、宗教、地域共同体などの影響力はますます大きくなるだろう、 という言葉。

「パワー」、「国家」だけでは国際関係は理解できない。
文化交流、相互イメージ、経済などさまざまな要素が国際関係を築くもので、それは国の方針とまったく違う方向を示す場合もある。
そして、地域共同体の連帯のためには歴史、人権擁護、環境について共通の意識を持つことが必要であること。そのためには、国家の枠から離れたNGOや宗教が率先して、地域的に共有されうるアイデンティティを作りあげることが望まれる、といったお話でした。



歴史は、自国を抜きにした視点からも見た方がいい、と思う今日この頃。
「日本はどうやってご近所さんとつきあうのか」「日本から宗教は消えたのか」――等々、考えは尽きないです。刺激的な読書になりました。
何となく、歴史学者さんというと黄ばんだ(笑)史料をひっくり返して、そこだけ100年前の時間が流れているようなイメージがあるから、こんな風に現在の政治問題が語られているとは思わなかった。


歴史学者の務めについて書かれた箇所が印象に残りました。


 歴史の正しい事実はひとつしかないが、その意味づけには多くの意見が在り得る。
 どの解釈が適当で、どれが明らかに間違っているかを指摘するためには意見交換が必要で、そのためには学問と言論の自由が保証されなければならない。

 現在と過去とがどうつながっているのか。現代に起こりつつある事象のうち、どれが一時的で、どれが永続的な現象なのかを見分けるのは容易ではない。
(歴史学者は)そこに歴史に照らし合わせて、何らかの推察を提供することはできるのではないか。

 その場合、現実に国家が行っている方針とは一線を画す必要がある。政府の御用学者とならないためである。しかしこのことは、常に反政府的であるべきだということを意味しない。



そういえば少し前に、(勝手に)敬愛する石濱先生も学問と政治について語っておられました(^^)
「学問と政治の関係について」(2012/10/29)

(2012/8/9 読了)



目次

第一部 歴史と出会う
 1 1945年8月
 2 1930年代と戦時中の生い立ち
 3 戦後の歴史教育
 4 米国留学の四年間
 5 大学院での修行
 6 学生との出会い
 7 歴史学者の世界

第二部 歴史研究の軌跡
 1 出会いの蓄積としての歴史
 2 私の歴史研究

第三部 過去と現在とのつながり
 1 学問と政治
 2 歴史認識問題の根底にあるもの
 3 地域共同体のゆくえ
 4 9.11以降世界は変わったのか
 5 結論:文明間の対話
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  1. 2012/12/15(土) 09:09:09|
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