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「消されゆくチベット」

消されゆくチベット (集英社新書)消されゆくチベット (集英社新書)
(2013/04/17)
渡辺 一枝

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2008年の騒乱以降、チベット語教育への介入、無秩序な開発、言論統制など中国政府による弾圧は年々深刻化、文化や伝統を消し去ろうとする圧力はより一層強められている。だが、チベット問題は世界を覆うグローバル経済の面からも見る必要がある。長きにわたって現地を取材してきた著者が独自のルートでチベットの現況をルポルタージュする。



 チベットの友人やその家族、近所の人たちとの交流を深めてきた著者ならではの視点で書かれたチベットの風景です。特に、手作りのお香や手すきの紙をつくる職人を訪ねた章が好きでした。出来上がった布や紙を目にするだけでなく、それを作る人たちの生の声を知ることができました。

 でも、その豊かなチベット文化はじわじわと締めつけられ、痩せつつある。
その「締めつけている」主体とは何かと考えてみると、これが明快に答えられない。
グローバル経済? 新しい価値観? 政府も大きな一因ではあるけれど、それだけとは言い切れない複雑な背景に気づいて茫然としてしました。

 昔ながらの水車で挽かれたツァンパ、遊牧で育てられた牛の肉は、新しく作られた工場生産の低価格に太刀打ちできない。人々はどうしても安い商品に流れがち。若者はファーストフードも好きだし、ツァンパよりパンとコーヒーの朝食を好んだりする。
 こう書くと「何だ。日本でだってあること」と思ってしまう。実は私も、こういう変化はいいじゃないかと考える方だし、安くてスタイリッシュ(と感じる)なものを買えるのはいいことではないの、と思う。
 ただし、これを拒もうとしたとたんに事態は一変してしまう――そこが、日本とあきらかに違うのだろうなあ、と思った。

 大切な友人たちを思う最後の一文の静けさが心にしみました。

 厳しい状況下でチベット人たちはなお懸命に文化を、伝統を守り抜こうとしているのだ。同じ時代に生きている私たちが、チベットの人たちから学ぶことは大きいと思う。
 どうか、チベットの友たちが、したたかに、しなやかに生き抜いていってくれるようにと祈ります。


(2013/6/2 読了)



目次

第1章 ドンを探しに
第2章 変容する食文化
第3章 ダワのお葬式
第4章 子供の情景 
第5章 伝統工芸の行く末 
第6章 「言葉を入れておく瓶はない」 
第7章 近代化の波

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  1. 2013/09/16(月) 21:44:13|
  2. エッセイ・旅行記|
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