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「チベット語になった『坊ちゃん』」

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種
(2005/11/01)
中村 吉広

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中国・青海省のチャプチャという小さな町にある民族師範学校で、ひょんなことからチベットの学生に日本語を教えることになった日本人教師の孤軍奮闘の物語。チベット語と日本語の文法の近似性に着目し、漱石の『坊っちゃん』の翻訳を授業で取り上げ、時に笑い、時に怒りながら育んだ、チベット人学生たちとの心の交流を描く。



 面白かった! 時々、時間経過が前後して読み難いところもありますが、それにしても面白い。爆走読書でした。

 チベット語と日本語は文法上の類似点が多く、それに着目した著者は日本語の本をチベット語に翻訳する授業を計画します。学校に寄贈されていた日本語の本の中から選ばれたのは、夏目漱石の「坊っちゃん」。日本人にはおなじみの物語はチベット人にも受けたらしい。


最初は大きな文字でかかれた三行程度の文章を四苦八苦しながら七人がかりで翻訳するのだが……(略)……
黒板にチベット文字を並べた後から、別の意見も飛び出して議論が巻き起こり、興奮した生徒が右手にチョーク、左手に黒板消しの姿で黒板上で大暴れすると、負けじと別の生徒が立ち上がり、前の生徒が書いた新説を訂正し始める。



 それにしても、学生たちの可愛いこと(*^^*)
 先生の叱咤激励に感極まって涙を流す純情な子もいれば、古今東西の若者の例にもれず、教師を甘く見て授業をさぼる子もいる。
でも、総じて勉強熱心には頭が下がるし、帰国予定が迫る著者を引き留めて「見捨てないでください」と泣く姿にはこちらも目頭が熱くなりました。
 日本語との比較を通じて、母語チベット語をより深く理解して欲しい。「チベット語は野蛮である」と教え込まれた記憶から抜け出し、自分たちの言語に誇りを持ち、その可能性を探って欲しい――そんな願いが熱く伝わってきました。


 終盤を読みながら、「こんなに可愛い学生に、やめないでと懇願されるのを断るなんて」と一瞬考えた。
せめて「教師がいなくても自力で残りを訳しなさい。皆にはそれだけの能力はある」と言ってあげればいいのに。
 でも、そう勧めることすら、政府を刺激してあらぬ疑いをかけられるのでは、と心配しなくてはならないのだろうか。
情けなく、やるせない話と思いました。


膠着語という言葉は初めて知りました。
言語の価値、みたいなことはわかりませんが、言葉はなるだけたくさんあって欲しい、と思います。
多様であればあるだけ、それが出会った時に生まれる可能性も多くなるような気がするから。

(2013/7/23 読了)


目次

序章 拝啓、さだまさし様
第1章 チベットとの出会い
第2章 チベット留学
第3章 チベット語の可能性
第4章 チベットの坊ちゃん先生 
第5章 息を吹き返したチベット語 
第6章 別れの時
膠着語の回廊 ―おわりに― 
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