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「チベットはどうなっているのか? - チベット問題へのアプローチ -」

(日中出版) P・ギャルポ 著



チベットはどうなっているのか?―チベット問題へのアプローチ (チベット選書)チベットはどうなっているのか?―チベット問題へのアプローチ (チベット選書)
(1990/05)
ペマ ギャルポ

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1987年9月にラサで起きた大規模デモの経緯とその後のチベット情勢について。また、1988年の和平提案(ストラスブール提案)の概要とその影響について語る。著者が教授を勤める大学所属研究所の発刊誌に1988~89年に掲載された文章他を収録。

第Ⅰ部  チベット動乱の真相
 第一章 チベットの1987年決起
 第二章 87年決起後のチベット情勢
 第三章 チベット3月決起と戒厳令

第Ⅱ部  チベット問題をどうみるか
 第四章 チベットにおける中国の宗教政策
 第五章 ダライラマ法王の新提案
 第六章 パンチェンラマの死を悼む
 第七章 中国の武力鎮圧
 第八章 ダライラマ法王とノーベル賞

第十四世ダライラマ法王のノーベル平和賞受賞講演


 1990年出版の本ですが、その後も情勢は変化し続けています(和平提案の結果や95年のパンチェンラマの誘拐など)。
 そのため、他の本と比較したり、読み取りなおしたり……ちょっと草臥れてしまいました。
 全体像を知りたい場合は、やっぱり新しく出版されたものを読む方がいいと肝に銘じました。

 ですが、読んでよかったと思ったのは、1987~88年にかけて行われたデモとその鎮圧の経緯、また1988年のストラスブール提案に対する亡命チベット人の間の抵抗感など、関係者の当時の心情を感じられたことです。

 デモ前後の状況については。
 宗教祭事への政治権力の介入、チベット沈静化を国際社会へアピールする場の設定、そこでの僧侶による抗議――細かい状況は違うにしても、同じような出来事が20年経った今も繰り返されているということにやりきれない思いがしますし、その理由を考えさせられもします。

 また、和平提案をめぐって、亡命政府の要人の間にすら賛否両論があったという話には驚きました。
 政府体制は民主主義を取り入れようとしてきたのに、それに逆行するかたちで法王によって重大な決定がなされた――そこには亡命チベット人社会の複雑さがあるのでしょう。
「法王は完全無欠ではない。間違えることもある」「顧問や補佐官の間違った助言の結果である」「過去の犠牲者を思えば、受け入れかねる」などの反対意見からはそれぞれの方の思いが伝わってきます。このあたり、私もまだ勉強途上で感想が書きにくいのですが。

 そして、今回(2008/4)、再読して目をひかれたところ。それは僧侶によるデモを批判的に書いた外国の新聞記事に対する、著者の意見でした。

「チベット人の価値観を理解していない」
「仏教徒であるチベット人は、物や地位、名誉を捨てて他人のために犠牲になれる人が尊敬され、賛美される。したがって、出家の身である僧侶が人々の先頭に立ったのは自然なことである」


「そういうことか!」と手をうち、そして当事者であるチベット人と外国人(もちろん、自分も含めて)との意識の差のようなものに愕然とさせられました。
 もちろん暴力行為はよくないのですが、それでも「彼は何を考え、何のために、どんな行動をとったのか」そこを想像できるような知識を持っていなかったことが恥ずかしかったのでした。

 それにしても。1990年にこんなことを書かれていたのに、今はどうなんだろうか。
 もしかしたら、チベットに対する世界の理解は、今もたいして変わっていないのだろうか――。そんなことを、オリンピックばかりのニュースを眺めながら考えていたのでした。

 あと、個人的に発見、というか気がついていなかったのですが。
 和平提案に含まれているヒマラヤの環境問題。仏教やボン教(チベットに古くからある宗教)の教えにより自然との調和を重視するチベット人にとって、これは信念に関わる問題でもあると語られています。
 私が環境問題と聞いてすぐに思い浮かぶのは、天候の変化、それが毎日の生活にどう関わるのか、といった物質的な面ばかりです。
 地球上には、同じ地球のことをずいぶん違った捉え方をする人たちがいるのだなあ、としみじみしてしまった。 (2006/10/3読了 2008/4再読)
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  1. 2008/06/15(日) 17:48:17|
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