![]() | 聞き書き ダライ・ラマの言葉 (生活人新書) (2006/10) 松本 榮一 商品詳細を見る |
ダライ・ラマ14世は宗教家でありチベット亡命政府の長であるので、仏教や政治視点からの本がたくさん書かれていますが、その中では珍しい内容の本だと感じました。
インタビュー部分で取り上げられているテーマは「幸福・慈悲について」「人生における価値観」「個人・国家のエゴ」など。仏教的視点からの言葉もありますが、話は現代教育、国際社会の共依存の関係など実際的なことが中心で、しかもシンプルでわかりやすいです。
これを補足するような形で、著者の見たダライ・ラマの日常生活、1980年の日本訪問の様子、ドイツ人僧侶へのインタビュー、亡命政府と中国・インドとの関係についての簡潔な説明がさし挟まれています。
著者とダライ・ラマとの交流は30年以上にもなるそうですが、インタビューにせよ写真にせよ、その信頼関係がなければできなかったような自然で説得力のあるものになっています。
一番印象的だったのが、幸福についてのインタビューでの『仏教徒であるかどうかはさておき』という言葉でした。
これには驚きました。だって、カトリックのローマ法王くらいの立場の方が「仏教はさておき」と言うわけですから。え、置いといていいんですか、と思いもします。もちろん、おおむね仏教説法的な提言に戻るんですが(そうでなかったらもっと驚きますが)。
これは、一神教的宗教観を頭において読むからそう感じるのだろうか。他の読者の方の感想もweb上で探して読んでみたいと思います。
それにしても。政治家であっても宗教という視点に拘ったり、政策に利用することがあるのに――これだけの立場の宗教家が「宗教は別としても」という視点を忘れることなく、さらっと言えるということに、ちょっと感動しました。 (2007/5/4読了)
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Author:りんか
チベットの文化、山の風景にひかれて、本を読みふけって数年。細く、長く――ゆるめのチベット・サポーターです。