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「チベットを知るための50章」

(明石書店) 石濱裕美子 編著


チベットを知るための50章 (エリア・スタディーズ)チベットを知るための50章 (エリア・スタディーズ)
(2004/05)
石浜 裕美子

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国の姿を失って半世紀過ぎて、今もなお世界中で注目され評価を受けているチベット文化。開国から現在までの歴史、チベット仏教やその他の生活文化(芸術、建築など)、今日のチベット人が直面する問題を解説する。チベット文化入門書。

Ⅰ 聖者たちのチベット
Ⅱ 雪の国の仏教
Ⅲ 暮らしの文化
Ⅳ チベット・オリエンタリズム
Ⅴ チベットのいま



 目次は大きい章題のみ挙げておきます。巻末には参考文献、参考HPを掲載。また仏教用語の解説もあり、丁寧に構成された入門書だと感じました。

 チベットの歴史、仏教、文化・生活、政治問題と内容は幅広いです。
 序文に説明されているように「チベット人の目から見たチベットの姿」を描いたもの。こういう視点を定めた理由は、「歴史的事実であるか否かに関わらず、彼らが信じる物語が人々を動かしてチベット史を作り上げてきたからである」「現実に力を持つイメージである限り、それを無視することはできない」とのこと。こういう考え方があるのだな、と興味をひかれました。

 面白かったのは、僧院で行われるディベート、建築、歌舞劇、口承文学について。

*ディベートの楽しみ(18章)
 チベットの僧院で行われる教義問答。立論者と質問者の問答の形式で、主張とその論拠を求めていく、というもの。
 映像で見たことはあるのですが、手を叩きながらの熱い議論は迫力があって、眺めているだけでも面白いのですよね。丸暗記だけでなく、問答を重ねることで隙のない知識を身に染み込ませていくという方法は効き目がありそう。さらに、こんな方法で二十年(一人前の僧になるのにこれくらいかかるらしい)みっちり勉強したら、どんな頭脳ができるんだ~、と考えて唸ってしまいました。

*チベットの建築について(10&28章)
 マンダラの特徴(中心・高所に本質的なもの、周辺・低所に現象的なものをおく)をなぞるように作られており、たとえばポタラ宮は最上階に観音像とその化身を本尊として戴く立体マンダラになっている。
 ヒエラルキーを形に表す――こういう表現は好きです。また、村の僧院や民家の配置にも同じ考え方が見られるということは初めて知りました。

*チベット歌劇 アチェ・ラモ(30章)
 寺院の境内などで行われる歌、音楽、踊り、芝居が一体となった歌劇。
 7~8時間にわたるのですが、観客は飲み食いしながら気楽に鑑賞するそうです。このために場所取りをしたり、上演後は自分たちでも踊りだすこともある、という。一度ほんものを見てみたいと思いました。
 もっとも、こんな伝統芸能にも変化が現れています。
 中国本土側では舞台のかたち、しぐさや台詞回しに漢化がすすんでいる。難民社会側でも、西欧などで上演することが多くなったため異民族にもわかりやすいオーバーアクションになりがちだそうです。
 昔のものをそのまま残していると思われがちな伝統芸能も、社会状況と無関係なわけがない。変化があること自体は当たり前のことですが、それが幸福なかたちであって欲しいと思いました。

*口承文学「ケサル王物語」(32章)
 ドゥンパという説唱芸人によって語られる口承文学について。
 「ケサル王物語」は、梵天からつかわされたケサル王が外道の国々を調伏していくという筋立てで、新しいバリエーションを生み出しながらパキスタン、モンゴルにまで広がった英雄叙事詩。「ケサル王がヒトラーと戦う」という新バージョン(笑)があるという話にはびっくりしました。
 また、物語の導入部や結びの句に定型があるという点が興味深かったです。
「この場所を知らなければ」「私を知らなければ、教えてやろう」という言葉ではじまる。そして、終わりは「もし、あなたがこの歌の意味を理解したなら、心に留めなさい。理解しなければ、何も説明することはない」
 こんな話の結び方をどこかで見たなと思うのですが、思い出せません。見つけたら追記するかも。


 しかし、我ながら情け無かったのですが、Ⅱ部はさっぱり読めませんでした。仏教哲学。
 実を言いますと仏教にはあまり興味はないのですが、チベット問題を追いかけていていつまでも避けて通れるものでもない、と観念。「ひとまず、初心者の頼みの綱で概要を」と思ったのですが……日本語で書かれているものを読めない、なんて事態があり得るとは思わなかった。
 歴史は好きです、政治も想像の手がかりはある、嫌いな分野(軍事とか)の本ですら読めないってことはないと思うのですが。
 おそらく難易度以前に、興味の持ち方の問題だと思うので別の本から挑戦してみようと思います。一応、まだ諦めてはいません。まだ、たぶん、おそらく……。 (2008/7/6読了)
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  1. 2008/07/19(土) 18:00:34|
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  4. コメント:0

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