(河出書房新社) 石濱裕美子 著 永橋和雄 写真
世界の創世神話から仏教の伝来、吐蕃(とばん)の繁栄と衰微、東アジア広域に影響力をもつ宗教国家として歩み、そして20世紀半ばに中国の支配下におかれてから現在までの歴史をチベット文化紹介のコラムとともに辿る。
神話に始まり、仏教の伝来と浸透、各宗派が発展していく、という流れがまとめられています。各宗派の成立、権力者との結びつきについて、かなりページ数が割かれています。
17世紀以降、僧侶が世俗を統治するという独特の国家体制。国の中では僧院勢力の間の権力争いがあり、対外的には宗教的権威として周辺民族と関わってきたという歴史があります。支配、所領という言葉で説明される国の形ではなく、別次元の権力を持つ勢力であったことが感じられました。
曼荼羅の構造がざっくりとながら説明されていて、その考えに則ってつくられた「立体曼荼羅」としてのポタラ宮の解説も面白かったです。
周辺諸外国とどのような関わりがあったかについては、少しもの足りない気がしました。「チベットから見た外国」という印象を受けましたので。
「チベット」(創元社)の方が近隣諸国の中のチベットの姿を思い描きやすかったです。
お寺はもちろん、仏像の写真が豊富。それも、日本のお寺にあるようなすっきりあっさり系ではなくて、黄金きらきら、極彩色がまぶしい……もちろん目は大きく太くて「ああ、インドに近いのだな」と思いました。濃ゆい仏像、結構好きです。
(2007/10/2読了)
- 2008/05/17(土) 17:03:42|
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