(中公文庫BIBLIO) S・ヘディン 著 金子民雄 訳
原題「Erovringstag i Tibet」。著者はスウェーデンの探検家。1893年からチベット入国を試み、断念せざるを得なかった二回の遠征の様子、そして1908年に許可を得て第三次遠征隊がヒマラヤ山岳地帯を横断した旅を、著者の挿絵とともに記録したもの。
まず、挿絵がとても雰囲気があってすてきでした(もちろん本文にも大きな楽しみがありましたが)。
前半、失敗に終わった二回の遠征の章では、闇や風、野生動物の群れといった風景を中心に描かれています。後半はタシルンポの寺院と僧侶の姿が多く描かれています。入国を許され、監視つきながら旅を続けてチベットの風俗をじっくり観察できるようになったためでしょうか。人物や祭事の様子が細かく描かれています。
訳者あとがきによれば、この本は1927〜35年の第四次探検行の資金集めという目的もあり、特にアメリカの読者を意識して書かれた、とのこと。読み物としての面白さ、わかりやすさを重視しているようです。
隠者やモルモットを襲う熊の描写など、ちょっと想像力働かせすぎだなあ、と感じることもありましたが、当時の探検物語を読むつもりで楽しみました。
文章と挿絵のとりあわせ、というのは、私にとっては至福の本。気に入った挿絵は「狼に追われる野生ロバ」、怒ったヤクのスケッチ数枚、従者の肖像数枚、「騎乗するチベット人」「タシルンポの寺院都市の街路」「タシルンポの新年祭」など。(2007/1/20読了)
- 2008/04/19(土) 17:35:54|
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