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受難と祈り ― チベット証言集

受難と祈り 書影

受難と祈り ― チベット証言集
ルンタ・プロジェクト

アマゾンなどでは取扱いがありません。ルンタ・プロジェクトのサイトより購入申込みできます。


1996~2003年におこなわれた5人の亡命チベット人へのインタビューの日本語訳。1949年以前や中国侵攻後のチベットの様子、また刑務所内でおこなわれた拷問についての証言集。

ジャンパ・プンツォクの証言
ロプサン・タシの証言
ソナム・ドルカの証言
ガワン・ジャムチェンの証言
尼僧ガワン・ワンドゥンの証言




 去年買ったのですが、証言の重さになかなか読み進めることができずに、紹介が遅くなってしまいました。
 証言者はもちろん、インタビューして本にして下さった著者の方の御苦労も大変なものだったろうと思います。
 感想とか考察する類のものではない、話してくれる声をただ受け止めるしかない本でした。
 あとがきにはこう書かれています。

 これら異なる一人一人の経験が語る世界が実際に存在したことを知っていただきたいと思う。

 遠い国の話ではなく、固有の名を持つ人たちの体験を知ってほしい、という思いが切々と伝わってきたので、それぞれの証言者の体験歴をメモしながら読みました。
 ジャンパ・プンツォクさんのメモだけ書いておきます。
(他の方は、今はふつうに生活しておられるのでweb上には載せません。抜書きだけが不特定多数の目にふれるのは良くないと思うので。証言は上のルンタ・プロジェクトのサイトでも読めます。関心を持たれた方はぜひ全文をお読み下さい)


ジャンパ・プンツォクの証言から

ジャンパ・プンツォク(1929(文中に28年との記載もあり)~2004)

1929 ペンポ地方のルンドゥップ生まれ
    8歳で出家
    13歳の時に、ダライ・ラマ法王の遊び相手に選ばれる
1959 ダライ・ラマ法王の亡命直後に還俗し、中国軍と戦う。同年末に逮捕。
1960 国家反逆罪によって懲役18年、シャモ6年の判決
    (※シャモ・・・市民権の剥奪、移動や労働の自由がない状態)
    刑務所となっていたバリリトゥ寺、ゲトゥ寺などに収監
1965 コンポ地方ネェティの刑務所に収監
1978 刑期終了 釈放
1988 大祈祷法会で「チベットに自由を」と叫んだことで逮捕、3年の懲役刑
    シトゥ刑務所、ダプチ刑務所、サンイップ刑務所収監を経て釈放
1991 インドへ亡命



「雪の下の炎」のパルデン・ギャツォと大体同じ時期に逮捕、投獄された方です。
 子供の頃の話では、ルンドゥップの美しい風景、農作業の様子、秋のピクニックの楽しさが伝わってきます。
どうやら、母親っ子でいらしたらしい。出家した後の思い出も、読みながらつい笑みを浮かべてしまうようなものでした。

 その後、1959年、ダライ・ラマ法王亡命後のポタラ宮を守るために還俗して戦うことを決意。
 でも、僧侶たちの誰も武器の置いてある場所を知らず、やっと見つけた銃は何十年も使用されずに埃をかぶっていた、とのこと。
 当時、中国とチベットの軍備は雲泥の差だった、という話は幾度も聞いていますが、こういう状態だったのか、と呆然としてしまいました。


4人の証言者たち

 ジャンパ・プンツォク以外の4人は、1989年~95年までの刑務所について証言されています。
 逮捕された時はみんな20歳前後の若者、中でもガワン・ワンドゥンは15歳で逮捕されています。
 4人の体験歴をメモしながら読んだのですが、「いったい、中国の司法ってどうなっていたんだ」とあらためて思いました。

 まず、逮捕・拘留、拷問による尋問。
 ガワン・ワンドゥンの証言が一番はっきりしていて、「逮捕後、派出所で二時間ほど尋問を受けたあと、拘置所へ移送されてデモの主導者の名を言え、と電気棒による拷問を受けた」と書かれています。
 取調べがエスカレートしての拷問ではなく、最初から拷問による尋問が行なわれていたのがわかります。

 また、それぞれが懲役○年という判決を受けていますが、ソナム・ドルカ以外の証言は裁判について触れていません。受けていないか、形式的なものだったのかもわかりませんが。
 ソナム・ドルカの受けた『裁判』は、「弁護人も傍聴人も裁判所にはいませんでした」というものだったそうです。


 彼らの証言は彼らだけのものではなく、一緒に逮捕された人や家族の言葉でもあります。
 ロプサン・タシと一緒に逮捕された僧侶、ソナム・ドルカの父親。ガワン・ワンドゥンと一緒に逮捕され、拷問により亡くなった14歳の尼僧についても書かれています。
 中国の法律やら、90年代のチベット以外の刑務所の様子はわかりませんが。1986年に中国が国連の「拷問禁止条約」を批准していたことだけを考えても、非難されるべきでしょうね。

 そして、今現在も大差ない状況がこれからどうなるのか、気になります。
 2009年4月13日中国政府国務院発表の「国家人権行動計画」(2009-10年)には、「意見発表の権利」、「身柄拘束者の権利と人道的扱い」という項目があります。
 また、中国は国連人権理事会の理事国にも選ばれています(2009年5月)。

 ちゃんと見てますからねー。
「みんなやってるから、いいじゃん」という子供のような言葉を聞かされずに済むことを願っています。
(2009/5/12 読了)
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  1. 2009/05/20(水) 22:15:26|
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