チベット 本の苑

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祈りの回廊

祈りの回廊 (小学館文庫)祈りの回廊 (小学館文庫)
(2004/03)
野町 和嘉

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人は何故祈るのか。チベット仏教、イスラム教、エチオピア正教とカトリック――それぞれの聖地における祈りの姿を通して、風土、人間、宗教の関わり合いを考えたフォトエッセイ。

1 チベット ― 極限高地の仏教 ―
2 メッカ ― 十二億ムスリムの中軸 ―
3 エチオピア ― アフリカに生きる旧約聖書の世界 ―
4 ヴァチカン ― 西欧文明の源流 ―




 著者の講演会で何点か作品を紹介されてましたが、約100点という数をまとめて見られたのが嬉しい本でした(文庫なので小さいですけど)。

 著者は1972年以降、サハラをはじめ世界のいわゆる辺境地域を訪ねて、そこに生きる人々を撮影されています。この本では、彼らが抱いている自然への畏怖や感謝、神との対話としての祈りの姿が集められています。
 宗教によって捉え方は異なるけれど、人知を超えた存在に心の拠りどころをもとめる人間がいる。その一方で、宗教の名における暴力が暴走している世界の現状がある。
 この現実を少しでも解きほぐそうと思う、視点の持ちようを示してもらった気がします。

 私はチベットの写真めあてにこの本を手にとりましたが、4つの宗教の信仰の姿をあわせて見られるのがいいと思いました。
 印象に残った写真や言葉は、

・チベットの高地では、凍土の上をわずか30cmほどの厚さでおおう表土が動植物の食物連鎖を支えている。
 このような自然環境と仏教の死生観から、鳥葬などのチベットの風習が生まれている。

・モンラム(祈願祭)に来たチベットの遊牧民の家族。

・西アフリカや東南アジアからメッカを訪れる巡礼者たちが身に着けた、色鮮やかな各地の民族衣装。
 それとは対照的に、すべての帰属を無くしてアッラーと向き合うための真っ白な巡礼着を着て祈る群衆の写真。

・岩盤を十字架の形に掘り下げて作られたエチオピアの地下教会。中世ヨーロッパでは、ここがプレスター・ジョンの国ではないかと考えられた。

・聖ピエトロ大聖堂で、ペテロ像の足に額をあてて祈る修道女の姿。

「聖戦などはない。どのような紛争も宗教のなかに口実を設けてはならない」
 (1996年 世界諸宗教平和集会での宣言)


 本の最後で著者は、(排他的な一神教的世界観ではなく)多様な思想が共存していくところに生き延びる知恵があるのではないか、と締めくくっています。

 なるほどと思いつつ、宗教は他宗教を認めることができるのか、無宗教・無神論主義までふくめた多様な思想を、はたして容認できるのだろうかと考えさせられます。
「うちの神様だけがいい」という一神教にはハードル高いでしょうね。仏教徒が一番楽にやっていけそう??
 
 教義とか理論上はうまくおさまったとしても、それを信じる人間の方は、なかなか変われないと思う。ことに、この本に収められた笑顔や涙を見ると、その思いを変えなければいけないと言われたら、彼らは本当に本当に困るだろう、と思うのです。
 いや、むずかしい話です。
(2009/5/7読了)
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