チベット 本の苑

チベット関連の本の紹介

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント(-)

「幸福論」

(角川春樹事務所)
幸福論幸福論
(2000/05)
ダライラマ14世テンジン・ギャッツォHis Holiness The Dalai Lama

商品詳細を見る



原題「Ethics for the New Millennium」。新世紀をわたしたちはどんな心構えで迎えるべきなのだろう――すべての人が幸せに生きられることを願い、その実現のための提言。

一章 人はどうしたら幸せになれるのか
二章 魔法でもなく、神秘でもなく
十章 ものごとを識別する力の大切さ
十一章 地球規模の責任感
十四章 切実な問題としての平和と軍縮
十五章 宗教にできること




 章数が多いので、いくつかだけ挙げておきます。
 「宗教書」だったら苦手だなー、と用心(?)しつつ手にとりましたが、これはきっぱり違いますね。

 世界にはわたし自身のものとは異なる多くの信仰、多くの文化があり、人に建設的で満たされた人生を送らせることができるのです。それどころか、わたしは今、人が宗教を信じるかどうかはたいして重要ではないと結論するに至っています。なによりも重要なのは、その人がよい人間であるかどうかなのです。

 何だか、この立場の人がものすごいこと言われてます。

 私は図書館で借りてしまいましたが……これは手元に置いておいて、ときどき開く本ですね。どの節をとっても深い言葉ばかりで、一気読みする本ではない気がします。実は自分の容量を越えている気がして、途中でギブアップしました。

「幸せになりたい、苦しみを避けたいという思いはわたしたちの本質なのです」
 この実現のための提案が、誰にでもわかりやすい言葉で語られています。

「たとえば、***だったらどうでしょう?」
「もし、***でなければ、こうなります」

 こんな風にやわらかい文章ですが、実例を挙げつつの言葉の意味づけ、仮定、反論、反論の反論といった流れが明快で気持ちいい。こういうところが理系の人の心をとらえるのでしょうね。

 今の私が気になったのは13、14章。環境問題、政治・軍縮について。
 自然環境は生存に関わることで、国の貧富にかかわらず傍観している余裕はない。
 技術によってある程度の調整はできるものの、そもそも変わる必要があるのは、環境ではなく人間の姿勢の方であること。
 環境問題は「母の寛容にも限界がある」という地球からの警告、というわかりやすい譬え。

 かつてチベット人はきれいな自然を当たり前に思っており、故国を追われてはじめて、飲めない水が流れる川があると知って驚いた、という言葉が印象的でした。

 政治などについては。
 近年、国を越えた政治・経済的協力機関(ASEANなど)がつくられる一方、文化・宗教を同じくする人々が固まっていくという一見矛盾する傾向がある。しかし、「社会政策や安全保障などを軸とした地域共同体の中に、自治権をもつ多様な民族・文化集団があるという状況」は実現可能なことだと語られています。

 これが中道政策になるということでしょうか。
 これは大集団と小集団のどちらに基準をおくかによって、その共同体の性格はずいぶん違ってくるのだろうな、と思いました。
 また、戦争を美化する思考や兵器をテクノロジーとしてのみ評価することへの警告、コスト評価、経済面からの軍縮も語られています。
 これには、よく聞かれる「宗教は理想と夢想ばかり」という意見はまったく当たらない、と思いました。

 どうも、容量オーバーで感想がうまくまとまらないのですが。
 十六章「お願い」の一節には、新聞やニュースで映されるダライ・ラマの姿が思い出されて、実はちょっと涙が出ました。

 ですから、わたしは手を合わせてお願いするのです。
 これを読んでいるみなさんに、このあとの人生をできるだけ意味のあるものにしていただきたいのです。
 どうか妬みを捨ててください。他人を負かしたいと思う気持ちをなくしてください。その代わりに、他人のためになろうとしてください。
 なんらかの理由で他の人の助けになれないのなら、せめて他の人を傷つけないようにしてください。


(2009/7/18読了)
スポンサーサイト
  1. 2009/07/29(水) 21:45:48|
  2. チベットって?|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0

「破天 -インド仏教徒の頂点に立つ日本人-」 | ホーム | 「聖地チベット~」展

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://gnamlinka.blog50.fc2.com/tb.php/97-d43a5c53

| ホーム |

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。